僕らのはなし。①
ー湊sideー
次の日…いろいろ探し回ったけど、屋上にもレッスン室にも彼の姿はなかった。
中庭も一応見に来たけど、そこにも居なくて…。
昨日の彼の涙を思い出し、私も胸が痛んだ。
先輩?今何処に居るの??
カサッ
心の中で問い掛けていると、後ろで草を踏みしめる足音がした。
「…何でアンタが?」
先輩かと思い振り返ると…立っていたのは伊崎だった。
予想外の人物につい落胆が混ざった反応をしてしまう。
「時雨かと思ったか?
それは悪かったな。
ここはお前らの特別な専用スペースか??」
「別にそんな事言ってないでしょ。」
何か始めから不機嫌そうに喧嘩売ってるかのような物言いの伊崎にこっちも不快な気分になり、若干口調が荒くなる。
「何なんだよ、お前。
お前みたいな庶民が俺らを引っ掻き回すのか?
許さねぇぞ。」
「はぁ?…ちょっと!!」
何か訳分からない事を言いながら、どんどん迫ってくる伊崎に腕で制止をかけながらそう言うが、胸ぐらを掴まれどんどん顔を近づけてくる。
「俺の仕返しは倍なんて甘い事で済まさねぇ。
何百倍にもして返してやる。」
「ちょっ、やめて!!
嫌っ!!」
さすがに伊崎が何をしようとしてるのか分かって、必死に顔をそらすが力が強く、上手くいかない。
「そんな嫌か?
だが、やめてやらねぇ。」
「ちょっ…んっ!!」
私の抵抗も虚しく無理矢理唇を重ねられてしまった。
悔しくて悲しくて、涙が溜まってくる。
バチンッ
私は伊崎の頬を思いっきり叩いた。
「何すんの?
最低!もう顔も見たくない!!」
私は離れたアイツを涙が溜まる目で睨んで、そう言った。
その時、涙が一粒零れたけど、こんな奴の前で泣きたくなくて、直ぐに走り去った。
こないだ助けてくれたり、励ますような感じの事をしてくれたりして、少しは悪い奴じゃないのかと思ったのに、やっぱり私の思い違いだった。
アイツは最低だ。
あんな奴、大っ嫌い!!