僕らのはなし。①


あれからも、結城先輩を毎日来てるか探したけど、姿を見る事はなくて、数日が経った。


伊崎の事はあの日から無視だ。
向こうも謝ってこないから、絶対許さない。

ファーストキスだったのに…。
アイツの考えてる事が全然分かんない。


それに今はアイツの事より結城先輩がどうするのかが気になる。

このまま聖奈さんを見送って後悔しない?
もう此方には戻ってこないんでしょ??


「あれ?聖奈さん…??」
そんな事をぼんやり考えながら、放課後の校内を歩いていると、特別棟の前で聖奈さんに会った。

「あの…どうしてここに??」
「大学の方に退学届を出しに来たの。
それで、湊ちゃんともう少し話したくて。
此処なら来るかなって待ってたの。」
何で居るのか謎に思い、聞いてみるとそう答えてくれた。
この高校の隣にまた同じ広さと施設を設置した大学もある。

退学届を持ってきたって事は、ホントにもうすぐ聖奈さんは…。


「退学届…そうなんですか。
ごめんなさい、お待たせしてしまったんじゃないですか?」
「そんなに待ってないから大丈夫。」
「あの…出発はいつですか??」
「明後日。」
「そんなに早く?
本当に二度と戻らないんですか?」
「多分ね。」
「残念です…折角知り合えたのに。
良くしてもらったお礼も、お返しもまだ何も出来てないですし。」
「そんな悲しい事言わないで?
したくてした事なんだし。
それにね、湊ちゃんと会って直ぐ分かったの。
時雨が笑顔で話してくれたのは貴女の話なんだなって。」
それを聞いて、どう返していいのか分からなかった。


「あの…中でお話ししませんか?」
「えぇ。」
もう少し聖奈さんと話したくてそう切り出した。

レッスン室に移動すると、始めから備え付けられてた豪華なテーブルセットの椅子にかけてもらって、こっちも始めから置いてあった立派なコーヒーメーカーのコーヒーを高そうなコーヒーカップに入れて出した。




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