詐欺師の恋
赤い髪




赤い髪が好きだった。





目立つことが好きだった。





毎日楽しければそれで良かった。




自分が駄目な人間てことくらい、馬鹿な俺でもわかってた。




燈真は俺より年上だったし、しっかりしてたけど、やばい人間だってことは知ってる。




だから、まぁ、ほら、それなりに距離を置いて。




酒だけ飲ませてもらえれば、何でも良かった。




言われたことさえやっておけば、好きなだけ、カウンターで女をはべらせても怒られないし、こんなにいいことはない。





そうやって、いつも通りの時間が流れて、このまま人生終わったって少しも悔しくともなんともなかったよ。




今でもそうだよ。



けど、さ。




俺と違ってお前はそれじゃ駄目だと思うんだ。



アオと逢ってから、俺も少しは変わったんだよ。






あれは、いつだったっけ。




アオが最初にルナに来たのは、いつだったっけ。






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