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「プライバシー保護とか自己申告とかで(健康診断を)免除してくれてもいいのになー」

「ハハハ、それは難しいな」

そう言ってあたしの愚痴を聞いてくれてるのは、主治医の神谷先生。

パパの先輩でもある神谷先生は、小さい頃からずっと診てくれている信頼できるドクターだ。

聴診器を机に置くと、優しい顔であたしを捉える。

「それで新しい生活は慣れた?」

「ううん、ママと二人の方が良かった…」

「あまり悩みを抱え込んじゃダメだよ。身体にも負担がかかるからね」

あんなのとこれからも一緒だなんて余計悪くなっちゃうと悪態をつくあたし。

「絹ちゃんは我慢屋さんだからね、辛くなったらいつでもおいで」

先生はいつもあたしの味方でいてくれる。

もし今パパがいたら こんな感じなのかもしれないと考えながら神谷医院を出た。
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