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「…変わらないな、強がりで泣き虫な所は」

込み上げてきた感情が雫となり、頬を伝う。

「だって、来年は見れな」

「やっぱり日本人なら夏は着物とサンダルだよなー」

マイナスな言葉を打ち消すかのようにエセ日本人が被せて言葉を放つ。

「…浴衣だから!因みにサンダルじゃなくて、下駄!」

「どれも親戚のようなもんでしょ?」

全然違う!サンダルじゃカラコロできないじゃない…

本当にこの人は日本に愛国心を感じているんだろうか。

涙もひいちゃった呆れ顔のあたしの横で急に真面目な顔に戻る甲ちゃん。

「…明後日、頑張れるな?」

まるで自分にも言い聞かせてるかのように、その瞳はじっとあたしを捉える。

大丈夫、これ以上甲ちゃんに十字架は背負わせたりはしない…!

「こんな奇跡あるんですねーって医学会を震盪させちゃうんだから覚悟しといて」

「うーん、それは俺の台詞だね」

「甲ちゃんの株価を今以上に上げる手助けしてあげるのに」

「ハイハイ、ありがとう」

こうやって冗談が言い合える時間も残り僅かなのかもしれない…

当たり前の光景が急に愛おしくなる。

だけど、決して身体が気持ちに追いつくことはない。

それどころか、あたしは…

「感動しすぎで 何だか疲れちゃった…」

「そろそろ戻ろっか?」
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