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その時、甲ちゃんの携帯の呼び出し音が静かな屋上に鳴り響く。

呼び出しかと思い彼に視線を向けるが、画面を見るだけですぐ切ってしまう。

「いいの?」

「うん、どうでもいい人」

が、またかかってきて切る。

それを何度か繰り返して気が付いた。

「パパさん?」

「…」

沈黙と言う名の正解。

「あたしはいいから出てあげて?」

「ごめん。どうせ大した用事じゃないだろうから、ちょっとだけ待ってて」

少し離れた所で甲ちゃんが英語で話すのが聞こえる。

聞いても分からないので、その間あたしは最後になるかもしれない花火を目に焼き付けていた、

向こうで彼らがしている電話が自分のことだとは知らずに…




「Ken, her opretion will be start the day after tomorrow, right?」
(明後日なんだってな)

「Stop calling me, if you know.I’m busy with…」
(知ってるなら電話してくるなよ。こっちは用意とか忙し)

「I heard it’s "Under the gun”. Are you nuts?!」
(『アンダーザガン』(危険な突破口)なんだろ?正気か?)

「I can’t back out…」
(もう後には引けないよ…)
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