学園ジュリエット
「なに絡まれてるんだ,堂々としろ」
後ろから声をかけられて,振り向くとそこには真田景.
たしか,海原高校で生徒を仕切ってるっていう男子生徒だ.
見た目がいいから女子からきゃーきゃー言われているし,喧嘩も強いから男子からもうぉーうぉー言われてる.
ド派手な金髪に似合わず,性格はわりと硬派との噂.
「ん・・・? お前,本当に海原高校の生徒か?」
「えー,あ,はい,そうですよ.初対面ですね」
「・・・ああ」
真田さんは腑に落ちないといった顔をしているがそれも仕方がないこと.
彼は,すべての生徒の顔と名前を覚えているんだ.
それくらい様々な人と関わっているということだけれど,私は学校で友達も知人もいない.
ある意味,隔離されたような状態だから真田さんと話したことがなかった.
「すまない.覚えておく」
「ははは・・・.それより,先ほどはありがとうございました」
腰を折って深々とお辞儀をした.
助けてもらわなかったら今頃どうなっていたかわからない.