社内恋愛なんて
いや、全然分からないですけどっと言いたかったけれど、あまりに呆れて言葉が出なかった。


そういえば、以前に瀬戸内さんに言われた言葉を思い出す。


理不尽な嫉妬や妬みでえげつないことする人間がいると彼女は言っていた。


本当にいるんだなと思って、地球外生命体やツチノコを見つけたような気持ちになって、しげしげと見つめた。


　怒りを通り越して、可哀そうな気持ちになってきた。


そんな考えじゃ、一生幸せになれないだろうな。


「もういいよ。分かった。お金、払っておくね」


　会計伝票を持って、席を立つ。


もう二度と私に関わらないで、とか、お幸せにと皮肉を言ってやりたい気持ちはあったけれど、また逆上されて色々されると面倒なのでやめておいた。


　美奈子は黙ったまま座り続けている。


レジでお金を払い、店員に謝って店を出た。


　雨は上がり、綺麗な虹が出ていた。


七色に輝く虹を見ていると、もやもやした気持ちが晴れていく。


過去は振り返らない。


例え今後美奈子に何をされたって動じない。


正面きって戦える。


うじうじしてネガティブで臆病だった私はもういない。


だから、前に進む。


自分を信じることは部長を信じること。


傷付いて、疑い深くなって、それでも好きになった人だから。


　自分の選ぶ道を自信を持って、歩いていこう。


一歩踏み出して、小さな水たまりをジャンプした。
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