社内恋愛なんて
部長でも冗談言うんだと思うと、なんだか新鮮だった。


しかも、女性を持ち上げるようなせりふ。


お世辞だと分かっていても、嬉しくなってしまう。


部長はご飯をおかわりして、出した食事を全部食べてくれた。


食後にエスプレッソを再び淹れて、少しゆっくりしてから帰っていった。


駅まで送りますと言ったのだけれど、頑として断られた。


あまり食事を食べない私を見て、二日酔いしていると気付かれてしまったようだ。


あまり長居してはいけないと気を使われたのかもしれない。


部長がいなくなると、少し寂しくなった。


もしも部長と付き合えたら、こんなかんじに過ごすんだろうなと想像できた朝だった。


付き合えたらきっと、幸せだろうなと思った。


でも、怖い。


付き合うことも怖いし、好きになって傷付くのも怖い。


好きと言われたわけでもないのに、付き合うことを考えてしまっている自分に呆れる。
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