奥様のお仕事
「じいちゃんの絵があって・・・・・」

浩一郎の胸の中で 私はドキドキしている。

「素晴らしい作品だよね どれだけこの絵たちに
助けられてきたか」


「え?」


「美しい色使いだよね。
マリンはこの海を見ながら大きくなってきたんだな」


「当たり前に見ていたけど離れて見て
何だか改めて海を見たくなったから」


「顔をあげてごらん」


浩一郎の声に 恥ずかしかったけど顔を上げた。


「あ」


「すごいだろう」


祖父の絵が 飾られている。


「ここは 俺のお気に入りの場所」


応接セットが置いてあって 


「マリンもここに座って好きなだけ 絵を楽しみなさい」


「はい すごくうれしい
じいちゃんに会えたみたいで・・・・・」


「じいちゃんの絵 浩一郎が買ってくれていたの?」


「残念ながら 海外でも 人気があるんで
黒木氏の承諾もらって コピーさせてもらったのもある」


「全部あるんですか?」


「マニアだからね」


「最後の絵ありますか?」


「あるよ」


「じいちゃん あれだけ見せてくれなくて
でもそんなに興味なかったから・・・・・・」


遺作のあの絵も見たいと思った。
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