この気持ちをあなたに伝えたい
「私もあれくらい可愛かったらいいのかな?」
「それは・・・・・・」

 無関係であることを言うと、角重先生は再度確認をする。

「本当に?」
「当たり前だろ。お前のことも本当に好きだった」

 嬉しくて喜んでしまうと同時にむなしさも広がっていく。その言葉は嘘ではないから余計に苦しみながら彼のことを想ってしまう。

「私は今でもあなたのことが好きよ」
「知っている」

 今にも泣きそうになりながら告白する角重先生を見て、古霜先生は胸が苦しくなった。

「どうしても戻せないの?」
「無理だ」

 どうしても無理であることを話そうとしたので、途中で邪魔をした。

「そんなこと、聞きたくないのに・・・・・・」
「すまない」

 考える素振りさえしてくれなかった。自分達以外の人間は誰もいなくて、音もないというのに声を拾うことが困難だった。

「彼女も好きなのよね?」
「それは・・・・・・」

 その質問にどう答えたらいいのかわからなかった。両想いとは自信を持って言い切ることができなかった。

「どうしたの?」

 声が聞こえていないのか、何も話さなくなった古霜先生を見て、角重先生は苛立ちを覚えた。
 別れてから何人か男と付き合ったけれど、駄目だった。今思えば古霜先生を忘れようと必死になっていただけかもしれない。自分はこんなに好きでたまらないのに、彼女はそうではないのかもしれない。
 最愛のことが許せない。彼のことをよく知っているのも、好きなのも自分が上なのだから。
 紛れもない嫉妬が芽生えた。必ず古霜先生ともう一度恋人同士になろうと決意した。

「どうして・・・・・・」

 以前より古霜先生のことを多く考えるようになっていた。彼だけじゃなく、最愛のことも。
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