この気持ちをあなたに伝えたい
 外出することを言うと思っていたら、そうではなかったので、ちょっと意外だった。

「外にはあまり出ないの?」
「いえ、たまに出ます。人が多いところはちょっと・・・・・・できるだけ少ないところへ」
「なるほどね・・・・・・」

 生徒か教師に二人の関係を知られたくないからだと判断した。
 常に秘密にしなければならないから用心する必要がある。誰かに知られてしまうかもしれないという緊張感と同時に燃えるような恋が二人を包む。スリルを味わいながら信頼関係を強くしていく恋を彼としたことがない。
 空腹の限界が来ているのだろう。いつまでも楽しくここでお喋りをするのは彼女にとって、苦しくなっていっているのがわかる。
 だけど、まだ一番話したいことが残っている。

「実はね、私、好きな人がいるの・・・・・・」
「そうなのですか?」
「うん。だからね・・・・・・相談に乗ってくれる?」

 古霜先生が誰にでも優しいということは前から知っているが、やはり良い気分にはなれない。
 心を支配するのはこの子ではなく、自分でなくてはならなかった。
 自分しか知らない感情を目の前にいる人物にぶつけようとしている。

「古霜先生を見て、どう思う?」
「はい?」

 一瞬で困惑の表情になった。目を左右に走らせながら、言葉を見つけようとしている。

「古霜先生を見て、どう思う?」
「あ、えっと、どう言っていいのか・・・・・・」

 しどろもどろになっている最愛に追い討ちをかけるように別の質問をしてみた。
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