この気持ちをあなたに伝えたい
 最愛が簡単に礼雅のことについて説明すると、深香はちょっと興味を持ったようだ。

「会ってみたいな・・・・・・」
「どこの部屋にいるのかわからない。それに友達とここへ来ているみたいだぞ?」
「どこにいるかぐらい教えてもらえば良かったのに・・・・・・」

 彼らの部屋へ乱入する勇気なんて、当然備わっていない。

「さてと、歌うか・・・・・・」
「あんたがいない間に四曲も入れたわよ?」
「構わない」

 知っているものがあれば、勝手に歌わせてもらうだけ。

「私も一緒に歌う」
「それは駄目!」

 男がいる部屋へ入りたがっているお前よりずっとましだろうと心の中で毒づいた。
 かれこれ四時間以上歌い続けて、もう外が暗くなっている時間になっている。店の外へ出ない限り、外がどうなっているかわからないが、真っ暗だろうと予想する。

「・・・・・・もうこんな時間だね。あと二、三曲歌ったら出る?」
「そうだな。この後、どこかで外食するか?」
「そうしたいけど、今はちょっと・・・・・・」
「・・・・・・また高いものでも買ったのか?」
「買っちゃった・・・・・・」

 深香は欲しいものがあると、すぐに買ってしまう。我慢をすると損をするという考えを抱いている。

「・・・・・・何を買ったんだ?」
「服を四着くらい・・・・・・」
「そんなに!?」

 予想外のことを言われ、最愛は驚きの表情を隠すことができなかった。

「どれも安かったよ? 三千円から四千円までのものばかりよ」
「それでもな・・・・・・」
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