この気持ちをあなたに伝えたい
「俺にもお前にも過去をなかったことにすることはできない」
「もちろんわかっている」

 どうしても納得できない。なぜ自分があんなひどい目に遭わないといけなかったのか。
 嫌がらせがひどかったのが角重先生。
 彼女は最愛に少しでも好意を寄せている人がいれば、最愛が誰とも付き合っていなくて、彼氏を欲しがっているなど、嘘の情報を流した。そのせいで最愛は多くの男子達に言い寄られたりした。
 一方、女子達には彼女達の恋人を盗もうとしていることや最愛が裏で悪さをしていることなどを教えていた。もちろん全部嘘だが、彼女達はそれを簡単に信じたので、気がついたら敵になっていた。
 高校を入学する前は友達を作って、楽しい高校生活を送ることができることを信じていたのに、実際はそうではなかった。
 ただ、こんな高校生活の中、噂に振り回されなかった美鈴や深香がいてくれたことが大きな支えだった。

「まさか・・・・・・教師達にここまで追いつめられるとは思っていなかった・・・・・・」

 思い出したくないと思っていても、思い出してしまう。

「最愛、お前は今までのように俺の隣にいろ。離れる必要なんてどこにもないのだからな」
「無理だ・・・・・・」

 最愛が何度首を横に振っても、礼雅は諦めようとしない。

「お前がいなくなる理由なんてない・・・・・・」
「どうして・・・・・・どうしてそこまで私を?」

 礼雅をまっすぐに見ると、彼は同情の眼差しをこれっぽっちも向けていなかった。礼雅は最愛に熱い視線を注いだまま、唇を動かした。

「俺にとってお前はもう子どもではないから」
「どういう意味だ?」
「お前な・・・・・・」
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