この気持ちをあなたに伝えたい
「だけど・・・・・・」
「ん?」
 
 まだ何かあるのかと思いながら、顔を上げた。

「以前に押し倒したときの最愛を思い出すとするかもな」
「このっ!」

 最愛は手加減なしで礼雅の背中を叩いた。

「痛っ!」
「馬鹿! それだけじゃない、大馬鹿だ!」
「お、お前な・・・・・・恋人に言う言葉じゃないだろ?」

 礼雅は背を丸くして、手で背中を撫でている。最愛も強い力で叩いたため、手がヒリヒリと痛かった。
 最愛が自分の手を見つめていると、礼雅がそっと持ち上げ、キスを落とした。それを見た最愛は馬鹿みたいに口を開けた状態で固まった。

「いつまで変な顔をすれば気が済むんだ?」
「だって変なことをしてくる!」

 最愛が手を隠しながら真っ赤になっていると、礼雅の顔が近づいてきて、最愛の鼻先を舐めた。

「ぎゃあああああ!!」
「耳元で騒ぐな」

 色気のない悲鳴に礼雅は呆れて何も言えなかった。

「耳が痛い・・・・・・」
「何だよ! 何を企んでいるんだ! いつから犬になった!」

 慌ててティッシュを取り、自分の鼻を拭いた。

「何も企んでいない。ただ、やっと最愛ちゃんと一つになることができたから、嬉しくてね」
「そんな言い方をするな!」

 どうしてこの人物を好きになったのか、最愛はどんなに考えても納得できる答えが見つからなかった。

「せっかく恋人になったから、今日はこのまま一緒に寝るとするか」
「嫌だ!」
「人間少しずつ前に進むことが大事なんだ」

 これも一歩前進であることを言われ、最愛は否定する。

「どこがだ!」
「一緒に寝ないと、この後どうなるかわかっているのか?」

 笑いながら伸ばしてくる手から逃れようとするものの、その抵抗は無駄で礼雅の腕の中へ引きずられることとなった。

「おやすみ、最愛」
「おやすみするか!」
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