この気持ちをあなたに伝えたい
　数日後、最愛と礼雅は保のレストランへ行くことになった。その理由は礼雅が保に最愛の恋人になったことを報告するため。

「そういうことです・・・・・・」
「おめでとう、良かったね！」

　パチパチと拍手をする保を見て、最愛は下を向く。

「もう、恥ずかしいだろ・・・・・・」
「いいだろ？　やっとなんだからな・・・・・・」

　礼雅は満足しながらメニューを開いている。

「最愛ちゃん、こんな男だけど、よろしくね？　相談なら、ちゃんと聞くからね」
「ありがとうございます。保さん」

　最愛は保に深々と頭を下げた。

「おい・・・・・・今のはどういう意味だ？」
「自分で考えなよ。いらっしゃいませ！」

　保は店に入ってくる客達にいつものようにとびっきりの笑顔で迎えた。

「最愛！？」
「はい？」

　振り返ると、そこには美鈴と深香が立っていた。二人が一緒にいるところをほとんど見たことがないので、かなり驚いた。
　美鈴が何も言わずに笑顔で最愛の前までやってきた瞬間、その笑顔は消えた。

「この大馬鹿！！」
「うっ！」

　最愛の頭に美鈴の拳が落ちてきて、最愛は涙目になった。

「何を怒っているんだ？」
「あたし、深香から聞いたんだからね！　大学に入学して間もない頃にあの二人にどんなひどいことをされたのか・・・・・・」
「深香・・・・・・」

　最愛が深香を睨みつけても、深香は明後日の方向を見る。

「私はてっきり知っているのだと思っていた・・・・・・」
「何の相談もしなかった罰よ！」

　最愛が自分で頭を撫でていると、礼雅がちょっと楽しそうに笑っている。

「深香ちゃん、久しぶりだね」
「お久しぶりです、礼雅さん」

　互いにニコニコしながら、頭を下げている。
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