俺は、危険な彼に恋をした。
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残りの授業も、終わり。
放課後。
俺は、昇降口に居た。
雨は、どんどん激しさを増し。
「最悪~傘持ってくんの忘れた。」
「天気予報外れてたね、朝はあんなに晴れてたのに最悪だねまじ。これ、止むのかな?」
「げっ、雨増してんじゃん!」
「何で降ってんだよ一。」
「わたし、傘二つ有るから一つ貸してあげるよ?」
「おっ、さんきゅ一!」
沢山の生徒がぞろぞろ昇降口に集まる。
ど一しよ、傘持ってきてないんだよな。
雨が降る何て、予想外だったしな。
「……………ほんと最悪。」
満開に咲き誇るあんなにも綺麗だった桜は、雨のせいですっかり散ってしまっていた。
俺はしぶしぶ、雨の中傘もささず自転車置き場まで走る。
急いで自転車に乗り、直ぐに学校を出る。
自転車のタイヤが水たまりが出来た所を走る耽美に聞こえる、水が弾く音。
ざぁぁぁぁ一と激しくどしゃぶる雨の音。
一瞬で全身はびしょびしょに濡れてしまった。
学校から家まで距離を、雨の中俺は必死で、自転車のペダルをこいだ。
もうすぐで、家に着く数距離の辺りまで差し掛かった時だった。
誰かが、俺ん家の前に立って居るのに気付く。
誰か、居る。
傘をさしてて、顔は見えないけど。
俺は、恐る恐る近付いていき、家の前まで来ると恐る恐る声をかける。
「俺に、何か用?」
すると、
俺の声に気付いてこっちを振り向く。
目が合った瞬間、俺は呆然とした表情になる。
冷たい空気に張り詰められた存在感。
「お前が、日向 洸か?」
その瞳の奥に有るのは、冷たい氷のような眼差し。
黒い髪と、黒い瞳がとても深い色合。
キリッとした目付きに、見とれてしまう程の美しい整った顔立ちをしていた。
こ一ゆうのを何て言うんだっけ。
そうだ………
彼は、まるで『氷で出来た華』そのものだった。
「そ、そうだけど。」
「やっと見付けた。」
「は?」
その時の俺は、自分に何が起きたのか解んなかった。
気付くと俺は、彼の腕に引き寄せられながらも彼の腕の中で抱き締められて居た。
「……ちょ!」
何で彼が、俺を抱きしめて。
何で彼に、俺は抱きしめられなきゃならないのか。
理解不可能だった。