俺は、危険な彼に恋をした。





─────***─────




残りの授業も、終わり。



放課後。



俺は、昇降口に居た。



雨は、どんどん激しさを増し。



「最悪~傘持ってくんの忘れた。」



「天気予報外れてたね、朝はあんなに晴れてたのに最悪だねまじ。これ、止むのかな?」



「げっ、雨増してんじゃん!」



「何で降ってんだよ一。」



「わたし、傘二つ有るから一つ貸してあげるよ?」



「おっ、さんきゅ一!」



沢山の生徒がぞろぞろ昇降口に集まる。



ど一しよ、傘持ってきてないんだよな。



雨が降る何て、予想外だったしな。




「……………ほんと最悪。」



満開に咲き誇るあんなにも綺麗だった桜は、雨のせいですっかり散ってしまっていた。



俺はしぶしぶ、雨の中傘もささず自転車置き場まで走る。



急いで自転車に乗り、直ぐに学校を出る。



自転車のタイヤが水たまりが出来た所を走る耽美に聞こえる、水が弾く音。



ざぁぁぁぁ一と激しくどしゃぶる雨の音。



一瞬で全身はびしょびしょに濡れてしまった。



学校から家まで距離を、雨の中俺は必死で、自転車のペダルをこいだ。



もうすぐで、家に着く数距離の辺りまで差し掛かった時だった。


誰かが、俺ん家の前に立って居るのに気付く。



誰か、居る。



傘をさしてて、顔は見えないけど。



俺は、恐る恐る近付いていき、家の前まで来ると恐る恐る声をかける。



「俺に、何か用?」



すると、



俺の声に気付いてこっちを振り向く。



目が合った瞬間、俺は呆然とした表情になる。



冷たい空気に張り詰められた存在感。



「お前が、日向 洸か?」



その瞳の奥に有るのは、冷たい氷のような眼差し。



黒い髪と、黒い瞳がとても深い色合。



キリッとした目付きに、見とれてしまう程の美しい整った顔立ちをしていた。



こ一ゆうのを何て言うんだっけ。



そうだ………



彼は、まるで『氷で出来た華』そのものだった。



「そ、そうだけど。」



「やっと見付けた。」



「は?」



その時の俺は、自分に何が起きたのか解んなかった。



気付くと俺は、彼の腕に引き寄せられながらも彼の腕の中で抱き締められて居た。



「……ちょ!」



何で彼が、俺を抱きしめて。



何で彼に、俺は抱きしめられなきゃならないのか。



理解不可能だった。





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