俺は、危険な彼に恋をした。





「何だよ…それ、意味不明…意味分かんね一よ。」



「なに?」



「仮に、俺とお前に何らかの関係が有るのかもしれない…でも、それでも俺の事はほっておいてくれ。関わるつもり俺には無いから……。」



そう言って、彼の手を振り払い。



そのまま、そっぽを向き背を向け家の中に入ろうとドアノブに手をかけ、開けようとした時だった……



ふわっと後ろから、爽やかなラベンダーの香りがした。



そう思った矢先に、ハッと璃空さんが背後に来た事に気付くと……。



「それは無理だな、ほっておける程
俺は、出来た人間じゃないし。お前は、俺の傍に絶対に居てもらう。」



耳元で、呟かれた彼の声が入ってくる。



何とも冷たくも、甘い囁き。



背後から伸びる璃空さんの逞しい腕が俺を通り過ぎ、ドアノブに真っ直ぐ手がいく。



ドアノブを握る俺の手を握り、少し開ききったドアを再び閉める。



俺は、思わず身体が固まってしまう。



「な…んで、俺なわけ。」



「は?」



「これ以上、俺に構わないでくれ!」



どんっ!と璃空さん思い切り突き飛ばした時だった。



「………………っ!?」



ふら……



「……っう。」



あれ。



やば…い…かも。



急に、視界が歪む。



足元が、ふらつく。



立っていられっ………



「お、おい!」



目の前が暗くなっていくのを感じた。



そして、その場で俺は、倒れてしまった。



「しっかりしろ!だいじょ一ぶか!おい、返信をしろ!」



雨に打たれすぎたのかもしれない。



傘もささず、濡れたまま居たから。



璃空さんの声がかすかに聞こえ、薄れていく意識の中………



真っ暗に曇る空から降り注ぐ激しい雨にうたれながらも、俺はあの日も確かこんな激しい雨だった……と、そんな事を思いながら瞼をゆっくり閉じた。




< 8 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop