俺は、危険な彼に恋をした。
「何だよ…それ、意味不明…意味分かんね一よ。」
「なに?」
「仮に、俺とお前に何らかの関係が有るのかもしれない…でも、それでも俺の事はほっておいてくれ。関わるつもり俺には無いから……。」
そう言って、彼の手を振り払い。
そのまま、そっぽを向き背を向け家の中に入ろうとドアノブに手をかけ、開けようとした時だった……
ふわっと後ろから、爽やかなラベンダーの香りがした。
そう思った矢先に、ハッと璃空さんが背後に来た事に気付くと……。
「それは無理だな、ほっておける程
俺は、出来た人間じゃないし。お前は、俺の傍に絶対に居てもらう。」
耳元で、呟かれた彼の声が入ってくる。
何とも冷たくも、甘い囁き。
背後から伸びる璃空さんの逞しい腕が俺を通り過ぎ、ドアノブに真っ直ぐ手がいく。
ドアノブを握る俺の手を握り、少し開ききったドアを再び閉める。
俺は、思わず身体が固まってしまう。
「な…んで、俺なわけ。」
「は?」
「これ以上、俺に構わないでくれ!」
どんっ!と璃空さん思い切り突き飛ばした時だった。
「………………っ!?」
ふら……
「……っう。」
あれ。
やば…い…かも。
急に、視界が歪む。
足元が、ふらつく。
立っていられっ………
「お、おい!」
目の前が暗くなっていくのを感じた。
そして、その場で俺は、倒れてしまった。
「しっかりしろ!だいじょ一ぶか!おい、返信をしろ!」
雨に打たれすぎたのかもしれない。
傘もささず、濡れたまま居たから。
璃空さんの声がかすかに聞こえ、薄れていく意識の中………
真っ暗に曇る空から降り注ぐ激しい雨にうたれながらも、俺はあの日も確かこんな激しい雨だった……と、そんな事を思いながら瞼をゆっくり閉じた。