恋愛の神様
無視してパソコンを打っていたが、ただでさえ苛々していた俺の堪忍袋の緒はあっけなく切れた。
「………ルサイ、ですよ!大体それ俺の仕事なんですか!?そんなに心配なら、部長がちゃんとカゴにでも入れておけばヨカッタんでしょーがっ!!」
「アア!?俺がか!?それこそ俺の仕事かってんだ!つか、仕事じゃねーだろ!オマエは心配じゃねぇのかヨ?薄情な野郎だなっ!」
「仕事じゃないなら尚更アンタにはアイツを捕まえる権利が――――」
「アァ?」
「………いえ、なんでもありません。」
部長には野山を捕まえる事が出来た。
傍にいろと言いさえすれば、野山は自ら籠に飛び込んだ筈だ………
なんて事は過ぎたことだし、俺が言うべきでもない。
話を切り上げるようにパソコンに顔を戻した俺を部長がじっと睨み据えた。
キーボードを打つ音だけのギスギスした静寂。
「なぁ?」
「はい。」
しばしの沈黙を置いて、部長が徐に口を開いた。
「オマエ、ひよ子と付き合ってんのか?」
ガチャッ!
派手な音をさせて動揺も露わにキーボードのタッチミス。
「……………おっしゃっている言葉の意味を計りかねますが。」
今更と思いつつ平常を取り繕って切り返す。
ほーん?と部長は顎を突き上げた。
「俺が気にいるような碌でもねぇ男、なぁ……。成る程。」
「……何なんですか、それは?」
「いや、コッチの話。」