恋愛の神様


「……ハクトさんにとってピーさんってなんなんです?」

「さぁ?……でも、ピーにとって僕はなくてはならない存在なんだよ。僕の事一番好きで、ココにしか行くところもないもんね。」


飼われているペットならばそうでしょうとも。

その残酷な事実を少し嬉しそうに言うハクトさんにワタクシの脳は目まぐるしく動き始めました。


ハクトさんにとってピーさんは無条件で恋い慕ってくる存在ということでしょうか。

盲目的にカレといる事を望み、一生を傍で過ごす相手。


「…あのう、ハクトさん。それ、タツキさんじゃダメですか?ついでに言うなら抱っこするのも撫でるのもなにもピーさんに拘らずとも、タツキさんでいいじゃないですか。」


なんて名案。
ナイスアイディア。

タツキさんなら一生ハクトさんを飼う覚悟をなさってますもの。
一生傍にいてくれるでしょう。

それでもってハクトさんラブなタツキさんなら、セクハラも喜んで受け入れてくれましょうとも。

双方万々歳ってやつでしょーが。

きょとんとしたハクトさんは、徐に首を捻りました。


「ピー……あのね、世の中では女の子を勝手に抱っこしたりしたらヤバい人だよ?」


そんな事も知らないんだね……と言いたげな同情的な顔に、ワタクシ理不尽な屈辱です。


「じ、じゃあ、ワタクシはどーなるんですかっ!」

「えー?だってピーはピーでしょ?」


つまり、ペットには雄雌の区別ナシですか。


底なしの敗北感にワタクシ完敗を期しました。

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