恋愛の神様
ハクトさんはお強請りみたいにタツキさんを見上げます。
「ピーは諦めたけど、ピーの子なら飼ってもイイよね?」
「そう言いだすと思ったわ。私もそれがイイと思って既にピーには了承済みよ。」
「わーい。」
「いやいやいや。ちょっと待って下さい。ワタクシ了承などした覚えはありませんよ!それにそれは……」
「ふふ。…ピーの子なら抱き心地いいだろうね…。そう言えば、ここも心なし大きくなったみたい?」
あーうー……。
下っ腹を嬉しそうに撫でられてワタクシは項垂れました。
いや、落ち込んでいる場合ではありません。
ワタクシはハクトさんに真実を告げなくてはいけないのです。
ワタクシは覚悟を決めて、病院での診断を伝えました。
「そか……、じゃあ、ここ今辛いんだねぇ。でもおっきな病気とかじゃなくてヨカッタ。」
ハクトさんはワタクシの報告を聞いてもがっかりする様子もなく、寧ろ愛しむみたいにワタクシのお腹を優しく撫でてくれました。
マイペースな方ですが、こんな彼にもちゃんと心配されているんですものね。
そう思ったら本当にありがたくて涙が滲みました。
湿っぽい空気を一掃するようにタツキさんが景気の良い声を放ちます。
「さあ、夜食にしましょう。シロ、お腹空いたでしょう?喜びなさい、今日はピーの料理よ!」
「……それ、タツキさんがエバるトコロじゃありません。」
ワタクシの突っ込みは見事にスルーです。