恋愛の神様

普通に会話をしているフリをしてみてもどこかぎこちなくよそよそしい。

分かってますとも。

零於さんの深夜残業もよそよそしさも一重に寝室を分けたワタクシに対する無言の反抗でしょうとも。

それに対応するワタクシも『そんな態度をとっても折れませんヨッ!』と無言の威嚇をするが故に、勃発した冷戦なのです。


喧嘩をした訳でもない。

話し合いの上、多少の不満はあるものの、お互い納得ずくの結論。

それで出来てしまった隔たりを一体どうしたらよいのでしょう。


ワタクシはボフッとソファーに身を投げました。

カチコチカチコチ―――零於さんの居ない部屋はとても静かで、時計の音がやけに耳に響きます。


サミシイ


何をするでもなく、いつも触れられる距離に居て手持無沙汰のようにワタクシに伸ばされてきた手。

彼のそれが無意識だったの同様、ワタクシの身体はその感触をもはや日常の如くに受け入れていたのですもの。


「…………………。」


ワタクシはそろりと下肢に手を伸ばしてみました。

いえいえ、これは欲求不満なんかじゃございませんとも。

…断じてそうじゃないとは言い切れませんが。

いつもワタクシの身体を熱くする指の感触や動き、肌を擽る熱い息遣いや甘い囁き。

零於さんの思いつく限りを思い出しながら指を動かしていきます。


「……ン………ふ……」


奥から不埒な熱が競り上がってきて背中を撓らせます。

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