恋愛の神様

壁からすっと身体を起こした零於さんはスタスタと一直線にワタクシの元へ歩いて参りました。

ソファーに座ったまま固まりつくすワタクシの前に膝を突き、ワタクシの手をそっと取りました。

自分の手にワタクシの手を乗せその上からもう一つの掌で包み込むように。

ワタクシと目線を合わせた零於さんは言いました。


「もう止めようぜ。」


何を…ですか?


ぼんやりとそう思ったワタクシの思考を読んだように零於さんは小さく苦笑して続けました。


「んー……喧嘩?にもなってねぇこの微妙なギクシャクした空気。俺も大人気無かった。チィちゃんが頑なに拒否るから俺もちょっとムキになった。ゴメンな。」


ぽんぽんとワタクシの手を包み込む掌が優しいリズムを奏でます。


「子供もさ…そりゃいつか出来りゃいいなとは思うけど、無理して望むモンでもないと思う。それこそ子作り優先で俺達がギクシャクしたら本末転倒だろ、と俺は思う訳だ。」


―――子供が居ても居なくても、俺達二人が楽しくなきゃ意味無いだろ?


そんな言葉が終わるか終わらないうちにワタクシは零於さんの首に抱きつきました。


「ごめんなさい。ワタクシが頑なでした。一緒に居ても距離を感じるこんな関係ワタクシももう嫌です。」

「うん。じゃ、仲直りな。」


背中にまわされた腕がぎゅっと力を増しながら、大きな掌で子供をあやすみたいに優しく頭を撫でてくれます。

どちらからともなく唇が重なりました。

久しぶりの感触に身体の奥がきゅんと唸ります。

唇が離れ、甘い刺激の余韻にほうっと息を吐くワタクシを零於さんが見詰めてニヤリと口角を上げました。


「で?欲求不満かよ、チィちゃん。」


ぎゃ――――。

零於さんですもの。見過ごしてくれる筈は無いと思っておりましたが、案の定、突っ込んで来ましたヨ!

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