恋愛の神様
マンションに辿り着き、ベッドに野山を転がす。
さすがに疲れた。
コインロッカーの荷物はこの際明日だ。
人の苦労も知らないで呑気にぐうぐう寝ている野山を忌々しく見下ろす。
嫌になるほどあどけない寝顔。
なんだか気が抜けて怒らせていた肩を落とす。
そーいや、ここに女連れ込むなんてメズラシイことだ。
遊びごときの女にテリトリィーを侵害されるのは好きじゃない。
亜子でさえあまり誘ったことのないこの部屋にさほど躊躇なく野山を連れてきたのはどういう心境か。
そんな事を考えつつ、ぷっと吹き出す。
……つったって、コイツ所詮野良の小鳥だしな。
俺にとって野山は道に落ちてた小鳥そのもので、間違っても駆け引きが必要な女でも、ご機嫌を伺わなきゃいけないような女でもないのだ。
よく見りゃカワイイ顔してんだけどな。
顔にかかった髪を払って、まじまじと覗きこむ。
誰と比べてどうだ、というわけじゃないが、コケティッシュな可愛さはある。
あまり近づきすぎたか、ふんだんな睫毛が小さく震えて瞼がゆっくり持ち上がった。
「おう、起きた――――か……」
まだ頭が回ってないらしくいつにもまして茫洋とした顔にふっと口元を緩ませる。
緩慢な手がスルリと昇ってきて俺の首筋に絡んだ。
それに気を取られている間に、唇が重なっていた。