恋愛の神様
小鳥に啄ばまれるようなキス。
何度も。
呆気にとられていた俺は覚醒と同時に顔を引きはがした。
「オマエ一体―――」
やっぱり気ぃ許すんじゃなかった。
所詮コイツも単なる女か。
苛立ちと困惑を混じらせた非難染みた声にも関わらず、野山はまるで聞いてないみたいに笑った。
ほにゃっと。
「ようやく見付けました。ずっと探してたんですよぅ。二年間も。会えて……ヨカッタ。」
無邪気なその言葉に、なぜか俺の心臓がチクッと痛んだ。
野山は縋るように俺を掴み、キラキラした瞳で俺を見上げてくる。
「お願いします。あの時の続き………是非教えて下さい。」
目の前にいるのは俺の知ってる野山ではない。
あどけない顔に艶めかしい女の双眸。
オマエは一体、そんな顔をどこの誰に教わったんだ?
やおら苛立ちが湧いた。
勝手なもので、野山にキスされて女の顔を見せられた時には、所詮コイツもその辺にいる安っぽい女の一人だったかと失望にも似た怒りを覚えた。
だが、それが自分ではない誰か―――二年前の男に向けられたものだと知った途端、別の怒りが湧いた。
ああ、分かってる。
これは途轍もなく身勝手な独占欲だ。
コイツがあまりにも無垢だから、俺は勝手に保護者になったようなつもりで、所有権を主張していたかったんだ。
クラブで男に囲まれているのを見て苛立ったのもそういう事だ。
俺はコイツを対等な女として見ていないくせに、コイツが他の男を相手に女の顔を見せるのがに気食わないんだ。
何より、
誰かの代わりというのが酷く刺さった。