Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
「君が代?」
美和があくびをかみ殺した声で、ノートのメモを読むのに我に返った。
「今日の授業内容、君が代なの?」
「違~う。
教員採用試験を受けるにあたって、君が代の歌詞を覚えておこうと思って」
しばし麗華を見つめた。
「それって、ずれてない?」
「なんで?
だって先生が入学式とかで歌えないの不味いじゃん」
「うちの初等部に雇ってもらえばいいじゃん。
卒業生なんだし」
麗華の口調をまねして“じゃん”でかえす。
「やだ~。
金持ちの子達って、すっごい生意気なんだもん。
ませててさ~。
可愛くないし」
「あなたにそれ、言われたくないと思うけど」
「えー、私は素直ないい子だったよ」
「そっちの意味じゃないでしょ」
美和はやや苦笑した。