Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
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パーティ会場の中は人込みで熱気に包まれている。
時間が経つにつれて、さらに上昇しているようだ。
皆、冷えたシャンパンでしのぐために、あちこちで酔っ払った姿を見かける。
怜士は自分のぬるくなったシャンパンを替えようかと、手元に視線を落とした時だった。
「うわっ」
その日本語と声音に条件反射のように顔を上げた。
自分を取り巻いているブロンドヘアの輪の向こうに、よろめいている姿を見つける。
裾を踏まれて、バランスを崩したのだ。
だが運動神経は衰えていないらしく、変なジャンプを2回ほど繰り返して体制を立て直した。
後ろを振り返って、何かを探している。
靴だと気が付いた怜士の動きは早かった。
取り巻いている女性たちを無造作に押しのけ、先に拾い上げる。
自分の顔を見て、麗華が目を見開いているのに、口の端で笑った。