Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪


「掴まれ」


ささやいてから足元にひざまずく。


床まで広がっているドレスの裾の中に手を入れると、足首をつかんだ。


素肌なのに背筋に欲望が走ったが、一呼吸おいて無にする。


いまだ肩に手を置かれないのに、意地悪な気持ちになって、勢いよく持ち上げた。


バランスが崩れたのにあわてた麗華が、ガシリと怜士の肩をつかむ。


それに微笑して、麗華の足に靴をはめると、立ち上がった。


「踏まれたところが少し破けている。
 代わりのドレスを用意しようか?」


他の者に聞こえないよう、ほとんどくちびるを動かさずに耳元で囁くと、麗華は首を振った。


昔とは違う香りが匂いたつ。


「そうか」


後方で好奇心に満ちた様子の美和に一瞥を投げて、何事もなかったように離れた。
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