Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪


「悪い。
 仕事が長引いている。
 家中、自由に見て回って、自由になんでも使って、暇つぶししてて。
 ああ、そうだ。
 玄関から右側に曲がった廊下の一番奥の部屋がプールだから、泳いでてもいい」
「泳いでてってね。
 水着なんてないし」
「必要ないんじゃないか?
 誰も見ていないんだから」


おかしそうに言うが、その考えの方がおかしいと思う。


電話が切れると、改めて玄関ロビーを見渡す。


怜士自身の家らしいのに、自由に見て回るのも気が引ける。


そのプールとやらを見てみよう。


アパートメントハウスで、個人の住居にプールが付いているというのは初めてだ。


廊下の内装や各部屋の扉の細工で十分、高級なのは伝わってくる。


プールに通じるというドアを開けると、目に飛び込んできたのは夜景だった。


その手前に20メートルほどのプールが照明の光を跳ね返している。


プールサイドは大きな黒いマットのタイルが、プールの中は白いタイルが敷き詰められていた。


怜士らしいといえば、怜士らしい。
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