君と奏でるノクターン
「ユリウス、いざって時のために、医者の手配を頼む」


「……親バカだな」

ハインツが観念したという顔をする。

「かもな」

宗月はこたえて「すまんな」と眉を下げる。


「宗月、アンコールは?」


「詩月でいく」


「いいのか?」


「ああ……信じるよ」

宗月の並みならぬ思いに、ハインツとユリウスは頷いて、宗月の肩を優しく叩く。


「ハインツ、ユリウス……」


「何て顔をしてる? 詩月に気づかれるぞ」

ユリウスが穏やかに笑う。

コートを羽織り、ミヒャエルとロビーを出た詩月。
コンサートホールから徒歩5分。


「ミヒャエル……ピアノ、何を弾けばいいのかわからない」


「不安なのはわかるが……休め」

音の狂ったピアノのある酒場、ミヒャエルのアルバイト先。



< 158 / 249 >

この作品をシェア

pagetop