シンデレラの落とし物
長い足を組み、胸の前で腕を組んだ秋は、椅子に寄りかかってすっかり寛いだ様子で、

「美雪強いね」

向かいの席に姿勢よく座って、何杯目かのワインを顔色ひとつ変えないで口に含む美雪に、感心していた。

「んー、そうかなぁ?」

秋のほうが、美雪よりも早いペースでワイングラスを空けている。

「秋くんのほうが飲んでるよ。でも、酔ってないみたい」

時折吹く海風がわずかに火照った肌の熱をさらっていく。

「最初はあまり得意じゃなかった。付き合いで飲む機会が多いとね、自然とアルコールに耐性ついてくるもんだよ」

ワイングラスを傾けた秋が、片方の口角を持ち上げてニッと笑ってみせる。

「秋くんて……もっと取っつきにくい人かと思った。でも全然違った」

「オレ? そうだなぁ。芸能界の人間はいろんなタイプがいるけど、オレはいつもこんな感じだよ。裏表使い分けられるほど器用じゃないから。まぁ、今回のことでいうなら自分のなかにも意外性があったんだなと」

「意外性?」

「出会ったばかりの女性を連れ歩くなんて普段のオレならしないようなことしたなって思ってるよ。これはもしかすると……海外旅行の成せる魔法?」

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