君色-それぞれの翼-
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「あ、希咲、おはー。」
部屋に戻ると皆起きていた。
時計を見ると6時半。
トイレでボーッとしていた時間が、思ったより長かったことに気付かされる。
ということは、戸谷君ももうすぐ戻って来るかな。
あたしは皆の布団の片付けを手伝い、朝食の為に食堂に向かった。
朝、食欲が無いあたしにとっては食堂の質素な食事が好都合だった。
先に来ていた南と会話をし、皆が集まるのを待った。
南はふにゃりとしといて、物静かな印象があったが、実際いろんなジャンルの話をしてみると、結構テンションが高くて面白い子だった。
朝食を食べ終えると、直ぐに授業は始まる。
昨日復習をしていなかった事が授業に響くか、と思ったが、塾でだいたい習っていたので理解出来た。
相変わらず先生は面白く、退屈はしない。
休み時間は近くの席の郁那や南と昨日の授業の復習をしたりし、割と真面目に授業を受けた。
その分、朝が早かった事もあってか、授業の後は睡魔に襲われ、皆が外で遊ぶ中、あたしは部屋に直行した。
部屋雪と愛美はおらず、あたしと郁那、あとは遊びに来た南だけだった。
仲良くなった子だけになった部屋は気が楽で、落ち着ける。
あたしたちは庭が見える窓の側に並んで横になった。
「ねーたーいー!!」
あたしは全身で伸びをしながら叫んだ。
続いて隣の郁那が欠伸をする。
南は腕を枕代わりに、今にも寝てしまいそうだ。
「昼寝する?」
郁那がニヤリと笑いながら言う。
「でも、もうすぐHRだよ?」
一番寝てしまいそうな南が控えようとするが、全く説得力がない。
「時間になっても来なかったら担任が呼びに来るでしょ。」
郁那は南に迫る。
その言い分もどうかと思うけど。
「あー、そうだね。」
それで納得する南も南。
「じゃ、寝よー。」
郁那と南が、二人で声を合わせる。
おい、あたしの意見は聞かないの。
そう思いながらも、寝たいと言い出したのは自分。もちろん昼寝には賛成。
あたしは苦笑しながらも目を瞑った。