予想外の恋愛
「…ありえない」
「えー、そう?ケンカするほど仲がいいとかって言うじゃない」
「ないない、ほんとに絶対ない。私の理想と真逆だよあれは」
「あんたの理想〜〜?たとえばどんな男よ」
そう言われてぱっと浮かんできたのは中島さんの顔。中島さんは今でも朝田博人と一緒によく店に来てくれる。
「まず優しくて。あと背が高くて。笑顔が素敵で…間違っても前足なんて言わない人」
「ああ、王子様タイプ…」
実際、今まで付き合った人達もそういうタイプだった。女の子には優しいような、怒らないような柔らかい感じの人。
「あ、それなら今度高校の同窓会あるじゃない。来るでしょ、近藤くん」
「え、あ…知らない。もう連絡とか一切取ってないから」
近藤というのは高校時代付き合っていた元彼だ。
私の理想のタイプそのまんまだった近藤くんに猛アタックの末付き合うことになったけど、恥ずかしさから言いたいことを言えず、愛情表現も何一つ出来ず、彼に振られてその恋は儚く散った。
今となっては苦い思い出だ。
「あんたかなり好きだったでしょ、近藤くんのこと。運命の再会ってのもありだと思うけど」