予想外の恋愛



「だってその頃からわかっちゃったんだもの。ナギサは朝田さんを好きになるって」

「………嘘でしょ」

「あら、女の勘を舐めてもらっちゃ困るわね。あんたと何年の付き合いだと思ってるの」


恐ろしい。
噂好きで情報収集能力に長けているこの友達は、どうやら恐ろしく勘も鋭いらしい。


「じゃあつまり…」

「そう、その言葉は朝田さんのことが気になってるんじゃないですかーって意味で言ったんだけどね。中島さんのことだと勘違いしちゃったみたい」

「ああ…まあ朝田さんは、まさか自分が好かれるなんてこれっぽっちも思ってなかったってことね」

「ね。ナギサが自分との会話を楽しんでる訳がない、じゃあ中島さんに会えるのが嬉しいんだろうって思ったんでしょ」

「はーーー。そんなことがあったなんて…」


中島さんのことを好きなのかと聞かれた時に、朝田さんがこっちには証言が…と言っていたのを思い出した。
それはマチの言葉のことだろう。


「だから中島さんとデートしたって聞いたときはすっごい焦ったのよ。そっちじゃない!ってね」

「その時に私、中島さんのことは好きじゃないって朝田さんにハッキリ言ったんだよ」

「それよ!」


マチがテーブルにバンっと手をついた。
とても反省しているとは思えないほど、表情がキラキラしている。



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