予想外の恋愛
「ナギサが気になってるのが中島さんじゃないなら、自分しかいないじゃない!朝田さんはそのことに気付いたはずなのよ」
「…そういえば」
中島さんを好きじゃないと必死に誤解を解いた時、朝田さんはとても困惑しているように見えた。
あの態度の意味も、今ならわかる。
「普段は自分と言い合いばっかりで冷たい態度の女が、もしかしたら自分のことを好きかもしれない…。こんなに萌えるシチュエーションないわよ!」
「なに勝手に盛り上がってんの!その時はまだ私、朝田さんのこと何とも思ってなかったんだって!」
「本当に?」
ずいっとマチが乗り出してきて、じーっと目を見てくる。
「本当にそう言えるの?その頃から朝田さんっていう存在は大きかったんじゃないの?」
「そ、そりゃ、あんなに口が悪くて態度もでかい男だし、存在は強烈だったけど」
「好きと嫌いは紙一重なのよ!覚えてなさい!」
「ちょっと怖いんですけど!」
「ああもう、とりあえず今はほっとしたわよ。朝田さんと上手くいって欲しいと心から思ってるんだから」
いつから朝田さんのことを好きになっていたのか、気になっていたのかなんて今となっては分からない。
だけど強烈なその存在は、ずっと大きかったのだ。きっと、コーヒーをこぼしてしまったあの瞬間から。