予想外の恋愛





それから毎日コーヒーを淹れた。

一つひとつ、自分の動作を確認しながら。
時にはゆっくり丁寧に、時にはわざと早いタイムで淹れてみたり。


だけどなかなか思い通りにはいかない。
もう自分ではこれが美味しいのか不味いのか、その判断もつかなくなりつつある。



「だからさ、一回誰かに飲んでもらいなって。次に朝田さんと中島さんが来店した時にやってもいいから」


店長にそう言われ、ついにあの二人に私が淹れたコーヒーの味をみてもらうことになった。



翌週、二人そろってお店に来たときにその話を持ちかけると、中島さんは快く了承してくれた。
朝田さんはニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべて、面白そうだから協力してやると言った。



「ナギサちゃん、良かったね」

「店長、ありがとうございます」

「今回は、二人分一気に淹れるんじゃなくて、一人分ずつ淹れてみて。中島さんへのコーヒーを淹れるときは中島のことを考えながら、朝田さんへの時は朝田さんのことを考えながら…っていう風にね」

「わかりました。…でも、どうしてですか?」

「ん?同じ材料を使って同じように淹れてるのに、もしそれで味が違ったら面白いよね」



そう言った店長が頑張って、と言うように手を振り、カウンターから出て行った。




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