予想外の恋愛




「…びっくりした。お前、なにしてんの?」



私と同じように携帯を握りしめたままの朝田さんが、驚いた顔をしている。


「え、あの…。もしかして、今からどこかに出かけるんですか?」

「あー、いや、手間が省けたみたいだ。ってお前その格好…」

「…似合ってますか?」

「…俺が選んだんだから当然だろ」

「違います私が選んだんです」



私は、朝田さんに買ってもらったワンピースを着て、パンプスを履いて、ネックレスをつけてここに来た。

これで少しでも私の意思が伝わって欲しい。



「…とりあえず入れよ。用事があって来たんだろ」

「はい、お邪魔します…」



朝田さんの家にお邪魔するのはこれで二回目。
相変わらず殺風景でモノトーンな部屋からは、朝田さんの香りがする。

テーブルの上には黒いコーヒーカップが置きっ放しになっている。



「俺何回もお前に電話したんだけど。なんで繋がんねーの」

「え?嘘!私だって何回も電話したのに、繋がらなかったのはそっちでしょ?」

「はあ?…おいまさか」


二人で目を合わせて固まった。

きっと、同時にかけていたのだ。


「…何してくれてんだよ、まぎらわしいな」

「ひっど!そっちこそちょっと時間ずらしてかけてきなさいよ!」

「おいコラ無茶言ってんじゃねえぞ」



って違う。

今日は言い争いをしに来たんじゃない。





< 198 / 218 >

この作品をシェア

pagetop