予想外の恋愛
「ご飯までには帰ってくるらしいから、久しぶりに3人で食べようか」
「お父さんは遅いの?」
「最近忙しいみたいでずっと遅いわねえ…多分帰ってくる頃にはあんたは帰ってるわよ」
「ふーん。あ、ちょっと部屋いってる」
「はいはい」
二階に上がって自分の部屋に入る。
家を出たときの状態のままにしてあるそこは、昔の思い出で溢れていて。
仕事を辞めた時はそれが眩しすぎて、なかなか直視出来なかった。
学生の頃に好きだったものや憧れていたものが、社会人になると輝きを失っていて、妙に冷めた気持ちで見えないフリをしていた。
「あ…」
ふいに本棚に目が留まり、一番下の段にある高校の卒業アルバムを見つけた。
ドキドキしながら手を伸ばし、ページをめくる。
「3年1組…あ、いた」
笑顔でピースしている自分の写真。
今となっては何がそんなに面白いのかわからない程、毎日笑い転げていた気がする。
だけど一時期、そんな日々が一転して泣いていた期間があった。
3年3組のページをめくる。
近藤樹、という名前を見つけて固まる。
卒業してから全く開いていなかった。つまりこの頃の顔を見るのは卒業以来、ということになる。