予想外の恋愛
喫茶店に入り、コーヒーを二つ頼んだ。
「やっぱりカフェで働いてると、コーヒーの味とかお店の雰囲気とか気になる?」
うっかり店内を見渡していた私に、中島さんがそう尋ねてきた。
「うーん…私は、うちの店長が入れるコーヒーが大好きなので。あまり競争意識とかはないです。だけど気になるのは接客ですかね」
「なるほど」
「私自身はコーヒーの知識もあまりないですし、美味しいコーヒーを淹れられるわけでもないので…。お店の為に出来ることっていえばそれなんですよね」
カフェで働こうと決めたきっかけなんて、人に自慢出来るようなものは何もない。
単純に、あのお店の雰囲気に引き込まれたとしか言えない。
「…俺が初めてナギサちゃんの店に行った時にさ」
運ばれてきたコーヒーにミルクと砂糖を入れる。
中島さんはいつもブラックなので、そのまま口に運んだ。
「ナギサちゃん、すごく元気な声で出迎えてくれたんだよ。覚えてないかも知れないけどね」
「え…」
「その時はまだ浅田と組む前で、俺一人で営業まわってた感じで…結構ストレス溜まってたんだ。息抜きにあのカフェに入ったんだけど、すごく癒されたよ」
中島さんはとても優しい表情で話してくれている。
そういえば、中島さんはもう随分前からお店に通ってくれているはずだ。