予想外の恋愛
「えっと…家ですけど」
「あっそう。ナビ入れるから住所言え」
「え?あ、えっと…」
朝田さんに自分の住所を伝え、電話の向こうではピッピッとナビに打ち込む音が聞こえる。
…ちょっと待て。
「あの!どういうこと…」
「なんだ、近いなお前の家。10分で着くから降りてろ」
「え!?まさか来る気じゃ…ってちょっと!」
電話口からはツーツーという虚しい音が鳴っている。
「〜〜〜私のバカ!」
この男の有無を言わせぬ物言いに、何故だかいつも素直に従ってしまう。
もういい、ちょうどいいから直接文句を言ってやる。
中島さんへの誤解も解かないといけない。
映画は面白かったって自慢してやろう。
10分後、一人暮らしのマンションの下へ降りる。
すると目の前に一台の車が停まった。
「よお」
「…こんばんは」
「とりあえず乗れ」
「は!?なんで」
「あ?面倒くせーなさっさと乗れよ。俺は立ち話は好きじゃねーんだ」
あんたの好みなんか知らないよ!
と言いたいのを堪え、後部座席のドアを開けた。
「…お前って、そういう気は使える奴?」
「いや、いきなり助手席に座るのは…朝田さんに物好きな彼女がいるかもしれませんので」
「どういう意味だコラ。別に変な遠慮とかいらねえから前乗れ」
そう言われたら助手席に座らないわけにはいかない。
失礼します、と言いながら助手席のドアを開けて乗り込んだ。
結局彼女がいるかどうかは判断がつかなかったけれど。