予想外の恋愛
今日はなんだか、朝田さんがいつもと違う。
お店以外で会っているから余計にそう感じるのかもしれないけど、いつもみたいな言い合いが起きない。
「悪かったな、今日…」
「えっ!?」
まさか謝られるとは思っていなかったので驚いた。
一応、勘違いして申し訳ないとは思ってくれているみたいだ。
「あの、でも、今日のことは…中島さんと出掛けたのは、結果的によかったと思ってます」
「…へえ」
「改めて自分は、中島さんのことそういう風に見てないって再確認出来ましたし…中島さんだって、私のこと何とも思ってないのがわかりました。
だからまあ、よかったかなって」
朝田さんの行動は無理矢理だったけれど、これは私の本心だ。
「ふーん…」
「なによ、どうでも良さそうな返事。あんたにはどうでも良いことなんだろうけど…」
「ナギサ」
「………え?」
聞き間違いじゃなければ、今、この男に初めて名前を呼ばれた気がする。
思わず朝田さんの顔を凝視すると、若干居心地が悪そうにしている。
「…なんだよ。今度は間違ってねえはずだぞ」
「はい…合ってます」
「もう、中島の話はいい」
「は?はあ…」
そう言ったきり黙ってしまった朝田さん。
私の心は落ち着かない。