予想外の恋愛
ドサッと二人で倒れこむ。
どうやら相手の人もなかなかの勢いで歩いていたらしく、ぶつかった後にこちらによろけたらしい。
相手が私に覆い被さるような格好で通路に転けた。
私の顔の両側の床に手をついて肘を伸ばして、なんとか踏ん張ってくれている状況だ。
「すっすみません!」
「いや、俺のほうこそすいません、怪我はないですか………え?」
「………は?」
上から見下ろされる形でお互いの目が合った。
これは夢か幻か。
どういう訳か、私を見下ろしているのは朝田博人だったのだ。
「あ、あの………ここで一体何を?」
「いや、完全に俺のセリフだろ。とりあえず今はお前を押し倒してるような感じだな」
最初こそ困惑した表情をしていた朝田さんだが、だんだんとその顔がドス黒い笑みに変わる…。
「ぎゃあー!変態っ!」
「うるせえ騒ぐな!なんだよぶつかったのがお前って知ってたら謝ってなかったっつーのに」
「はあ!?そ、それより早くどいてよ!」
さすがにこの体勢は恥ずかしくなってきた。
相手が朝田さんだと分かった途端に余計顔が熱くなってきたのは何故だか知らないけれど。
「へーえ。お前、顔赤いけど。何意識してんの?」
「し、してるわけないでしょ!?いいから早く…!?」