予想外の恋愛


「朝田。ちょっと言い過ぎ…」

「ちょっと。悪いことしたとは思ってるけど関係ないことまで言い出すのやめてもらえますか」


「…あ?」


「コーヒーぶっかけたのは謝ります。だけど男に免疫無いとか言われる筋合いは1ミリもありませんよね。新手のセクハラか何かですか」


中島さんがポカンと口を開けて見ているし、店長がオイオイという顔で見ている。
だけどここまできて引き下がるなんて私は出来ない。


「…朝日だか朝野だか知らないけどね。顔が良いからって何言っても許されると思ったら大間違いだからね!」



やってしまった。
やってしまったのだ。


目の前の男は頬を引きつらせこめかみに青筋を浮かべている。

そしてドス黒い笑みを浮かべた。


「…いい度胸だ。お前の言いたいことはよーくわかった」

「お前じゃなくて沖野ナギサ!」

「沖でもナギサでも好きなとこに沈んでやがれ!」

「何それ全然おもしろくない!」



中島さんが笑いを堪えて肩を震わせている。

暴走した私がこの後店長にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。





これが始まり。

それからの半年間、私はこの男が来る度にバトルを繰り広げているのだ。


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