予想外の恋愛


乗れと言われて助手席に座ると、走り出した車。


「あのー。どこに向かっているんでしょうか。というか、今日は一体何があるんでしょうか。中島さんは来ないんでしょうか」

「うるっせーな…質問は一つずつだ」

「じゃあ一つ聞きます。何を企んでいるんですか」


そういうとちらっとこちらを見て、フフンと口元を緩めた。


「いい質問だ。だが答えてやらない」

「はあ?横暴!俺様!」

「悪いな、それが俺だ」

「開きなおるな!納得いかない!」


ギャーギャーと騒ぎながらも車はどんどん家から離れていく。

普段カフェで会うときとは違い、今日はお互いに私服だ。
それなりに時間をかけて選んだ服を着ているので、気合い入ってるだとか言ってからかわれるかと思っていたけれど…どうやらお互い様だ。

朝田さんの服装も、ちょろっと外に出るような格好ではない。
髪もラフだけどしっかりセットされているし、腕には高そうな時計。
さっき起きたばかりではないのが予想される。

こう見ると、いい男なのだ。

中島さんとは違うかっこよさがあり、社内でモテているというのも見た目でいえば頷ける気がした。

いや、見た目だけじゃなくて…。

私の前では口を開くと暴言ばかりだけど、社内では優しいという話を中島さんに聞いたことがある。
この人に優しく振舞われたら、大抵の女の人はときめくだろう。

だけど私にはその姿がまったく想像出来ない。
違和感すら覚える。


どちらの朝田さんが本物なのだろう。




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