あの続きは給湯室にて


あぁ、わかった。あの夢の続きだ。

彼との近さ、胸の鼓動。今朝見た夢と、どこか似ている。

それに気が付くと、途端に顔が熱くなる。


「……玉城、もう大丈夫。」

「そうか?」

「ん、ありがと。」

「……お前、何で顔赤いの?」

えっ、と漏れそうになったのをなんとか堪える。


今朝の夢を思い出していました。

こんなことを言ったらまた怒られるだろうか、と思いながらも、正直にそう伝える。すると、彼はまたその綺麗な目を細めた。


「……人が本気で心配してたのに。」

「だって、」

「お前はむっつり男子中学生か。」

「ぴ、ピチピチの二十代です!」


彼は呆れたように私から体を離すと、シンクに向かう。

出来上がったコーヒーを二つのカップに注いでいる彼の背中を見つめる。広い肩は逞しくて、背中は思わず抱きついてしまいたくなるほど格好良い。

……いやいや、我慢だ。

そういい聞かせる。が、これくらいいいかな、と思い、口を開く。


「……玉城。」

この一言を言ったら、何かが変わるだろうか。

「んー?」

もしかしたら、本当にあの夢の続きを叶えることが出来ちゃうかも。


「玉城、好きだよ。」

なんて、また夢の夢だけど。


< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop