少女Fの思惑
にじゅうきゅう
靴箱を開けると空っぽ。
「…」
昨日のことか…。やっぱり見てる人もいたんだな。
どうしようかと悩んでいると聞きなれた声が背中越しに聞こえた。
「おはよー光。ってどうした?」
「おはよ、涼。いやぁ…いじめ?」
「はっ?」
と私の靴箱を覗き込んでくるけどさっきまでなかったものが急に現れるわけもなくて空っぽのまま。
「なんだよ、どうなってんの」
「うーん、昨日一ノ瀬と一緒に帰ったからかな、成り行きで」
「成り行きがすごく気になるけどなるほどそうかそれなら納得…はしねぇけどわかった。じゃあ、はい」
「はい?」
ぽいっと私の足元に投げてくれたのは涼の上履き。
「貸すよ。なんもないと冷たいだろ」
「貸し出し用のやつ借りてくるからいいよ。涼だって冷たいじゃん」
「俺は男だからいいの。俺が借りてくるから。じゃ、後でな」
「ちょっ…と、勝手に…」
さっさと職員室に向かっていってしまった背にぽつりとつぶやいた。
「涼の上履きでかいんだよ…」