いつも恋して・・・
トントン゛


「社長お時間です。」


追い討ちをかけるように就任以来、廉には息つく暇もない。



梨佳子の行方を捜すのは信頼のおける部下任せ・・・


寂しいと感じる時間すら与えてもらえない。


ただ今の廉にとって忙しさは救いとさえ思える。


「芦田さん・・・頼むm(_ _)m」


廉はもう一度智美にすがるように念を押して部屋を出た。



『梨佳子・・・・社長ヤバイよ=3・・・・限界だよ~(TOT;)』


「早く連絡してよ~(≧0≦;)」


智美は日本を1人で出て行った梨佳子の事も気になるものの、


目の前で今にも倒れてしまいそうな廉の表情は、あまりにも痛々しく見えた。


智美も会議の為、一緒に社長室を出て廉の後を歩いた。


「おはようございます!」


広い会議室は廉の一声で空気が張り詰める。


役員の視線が一斉に廉に集中し、会議がスタートする。


社長の仮面をかぶり、心の中の弱さは微塵も見せない。


さっきまでの弱りきった彼のどこに・・・この表情ができるパワーが残っているのか・・・(-_-;)


多分立っているのがやっとだろう・・・


智美は会議の間中、廉から視線が外せなかった。


「・・・・。」


会議が終わって社長室に戻り、鳴るはずもない携帯電話を確認してしまう・・・



「お前は気にならないのか・・・・」


廉は鳴らない携帯電話に向かってボソッとつぶやく・・・


「社長・・・少し休憩を入れておりますので・・・」


伊藤から見ても、今の廉は痛々しいほどいっぱいいっぱいに見える。
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