いつも恋して・・・
「・・・そうですか・・・」


梨佳子の父親は、そう返事をしたまま少しの間黙った。


空気の張り詰めた部屋の中は、たまらなく居心地が悪い。


「あなたは梨佳子の居場所を聞いてどうなさるおつもりですか?」


「・・・ただ謝りたくて。」


廉は改めて聞かれた事に何と答えていいか・・・少し戸惑いながら言った。


『本当は会いたいだけ・・・かな(;_:)』


自分でも何故こんなに探すのか・・・


梨佳子が自分から離れたのなら自由にしてやるべきではないのか・・・


そう考えたりもする。


ただどうしてももう一度会いたい・・・


廉の父親の前で黙り込んでしまった。


「梨佳子はアナタの事があって海外留学に行きました。」


「私が言うのは親バカかもしれませんが、頭のいい子ですので無謀に何の計画もナシに行った訳ではないと思っています。」


「1年は帰って来ないと言っています。」


「アナタはどうなさいますか?」


「えっ?!」


廉は梨佳子の父親の質問に驚かされた。


「待っています!!」


「そうですか・・・」


「でしたら、1年間梨佳子の事は忘れてアナタはアナタの道で頑張ってください!!多分梨佳子ならそう言うでしょう・・・」


「・・・・。」


廉はその言葉に胸を一突きされたような気分になった。


「1年間、娘にも考える時間をやってくださいm(_ _)m」


「・・・・。」


梨佳子の父親は穏やかながら芯の通った顔で廉に頭を下げた。


廉は自分に頭を下げて娘の事を願う梨佳子の父親の姿を見て、一切の言葉が頭の中から消え去った。


『何も言えない・・・頭を下げないといけないのは自分の方なのに・・・』


「・・・。」


「お騒がせして申し訳ありませんでした」


「梨佳子さんに恥ずかしくないように頑張りますm(_ _)m」


廉は梨佳子の父親に「何をやっているんだ=3」


と頬を2.3発強く叩かれたような気分だった。


今まで何をしていたんだろう・・・と


廉は深々と頭を下げて部屋を出た。
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