《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
ゆっくり一子の両腕を離し、改めて一子を見つめた。
ーーーそうだったな。こいつは、歩とデートしたり、パーティーに同伴するほどの女だ。歩にも約束したんだ。
それに、こいつは俺に関心が無いし、別世界の人間だと距離を置いている。
俺とこいつには、なんの交わりも無いんだ。今までもこれから先も。
「卵粥……出来てるから、たくさん食べろ。それで、妹たちに心配させるな」
秀馬は、キッチンから居間へ行きコートを掴むと一子へ向いた。
「じゃあ……」
その後、言うべき言葉が思い浮かばなかった。だから、そのまま黙って玄関へ向かう土間へ下りた。
ーーーじゃあ、また……いや、また…は無い。もう会わないかもしれないんだから。……そうでもないか。パーティーで会うだろう。
「ありがとうございます。気をつけてくださいね」
背中に一子の声がかけられた。
秀馬は、玄関の扉にかけた手を動かさずにいた。何かに後ろ髪を引かれる思いがしていた。
「……もし、クリスマスパーティーに」
念仏を唱えるみたいに呟いていた。
玄関先から振り返って、サンタみたいに赤い服きた一子を見上げた。キッチンからもれる明かりの他には何も明かりが無い為、一子の表情が見えない。
「今、ここでクリスマスパーティーに、俺と一緒に行かないかって誘ったら…あんた困るか?」
ーーー何故、そんなことを突然言い出したのか。何故、そんなにパーティーにこだわってるのか。
秀馬自身にもわからなかった。
ただ、モヤモヤとし続ける自分の気持ちをどうにか払拭したかったのだ。