《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
パーティーまであと3時間くらいしか時間が残されていないが、帰ろうとすれば出来ない訳でもない。
「俺は……帰らないでぶらぶらするかな」
「じゃ、じゃあ、私もそうします」
「……」
ぶらぶらしだした秀馬の後にちょこまかとついていると、秀馬が振り返った。
「あんた、後ろにいるといちいち振り返るのが面倒なんだ。たのむから隣にいてくれないか?」
「隣ですか?」
「そ、嫌なら……」「嫌じゃないんです。全然」
急いで隣に立つ一子。
「面白いな。あんた。モグラ叩きのモグラみたいだ」
言いながら、秀馬が一子の頭をポンポンと叩いた。
ーーー決して、いい意味じゃ無いよなぁ。モグラかぁ。
ファッションビルを出ると、風が冷たくて身を震わせる。
「寒いか?」
「全然、全く」
強がりを胸張って言う一子の手首を掴む秀馬。
「我慢強いな。俺はむちゃくちゃに寒い。どっかであったかいもんでも飲もう」
手首を掴まれながら、早足でクリスマス一色の街を進む。
いつもの街と違う景色が広がる。
鮮やかな赤色のリボン、緑色のモミの木。金色の星や鈴。
楽しげなクリスマスソング。そして、隣には……秀馬がいた。
いつもと違う景色の中にいる素敵に輝く人。
ーーー真田さん……今だけ、恋人みたいな気分に浸っても、いいですか?
一子は、秀馬の端正な横顔を見上げ軽やかな足取りで街を歩いていった。